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高CK血症の鑑別

1.

高CK血症の鑑別
研修医
2年目
勝矢 脩嵩

2.

そもそもクレアチンキナーゼ(CK)とは
・CKはクレアチンとATPからクレアチンリン酸とADPを生成す
る反応の媒介酵素である。
・CKには3種類のアイソザイムがある。
CKBB 脳や平滑筋に多い
CKMB 心筋に多い
CKMM 骨格筋に多い
・細胞障害により、血中に逸脱・遊出するため筋肉組織の障害を
調べる酵素として血中CK濃度は臨床上重要である。
・血清CK値の基準値 男性 50-200U/l
・CK-MB活性の基準値 2-20U/l
女性
40−170U/l

3.

【参考】血清CK値による鑑別
活性値
U/L)
高頻度にみられる疾患
否定できない主要疾患
〜50
甲状腺機能亢進症
長期臥床、妊娠、
CK欠損症
急性冠症候群、
神経原性ミオパチー
50〜200
基準範囲
200〜1000
急性冠症候群、心筋炎、
多発性筋炎、皮膚筋炎、
筋ジストロフィー、
甲状腺機能低下症
激しい運動、筋肉内注射、
気管支喘息重積発作、
悪性腫瘍 腺癌
1000〜
急性冠症候群、心筋炎、
多発性筋炎、皮膚筋炎、
筋ジストロフィー
動脈梗塞、肺梗塞、
横紋筋融解症

4.

CK値だけで診断を下すのは非常に困難
実際には血液検査の検査項目でなんとなく
血清CK値をオーダーしているけど、診断・
治療に役に立っているのだろうか

いくつか症例を挙げて検討

5.

症例 55歳男性 自営業
高血圧の既往あり。3時間前より、急に前胸部がうずく
ような不快感が継続している。嘔吐と冷や汗、両肩にも
痛みがある。
バイタルサイン 異常なし
心電図 明らかなST変化なし
血液検査 WBC 13300 AST 400 LDH 414
CK 1200 CK-MB 89 トロポニンI 0.5

6.

➡ 現病歴、理学所見から考えると、急性管症候群 ACS)の疑い
が強い。一方でCK、CK−MB値を測定していなくても上記の疾患
を想起するのは容易である。
CK、CK−MB値を測るメリットとして
・トロポニンより測定が容易
・血清CKやCK−MB値の最高値から心筋梗塞の大きさを推測でき

・トロポニンが陰性でCK−MBが陽性群ではCK-MB陰性群と比べ
て入院時と退院6ヶ月後の心疾患イベントのリスクが高い
(Yee, K.C. et al. Am J Cardiol 92 : 1442-1444, 2003

7.

症例2 33歳男性 会社員
生来健康で既往歴なし。6月の暑い日に市内マラソン大
会で走り、10km地点で倒れた。数分で意識は回復。近
医を受診したところ「軽い熱中症」と診断され、その日
は帰宅した。翌日、下肢の筋肉痛が強く食欲不振、嘔気
が強くコーラ色の尿がでた。
バイタルサイン 37度台の発熱あり
検査 AST 300 LDH 414
CK 2500 BUN 38 Cre 2.5
尿潜血 尿沈渣−

8.

➡ 病歴、特有の尿色、CK、AST、LDHなどの筋逸脱酵素の上昇
などから横紋筋融解症が疑われる。
【横紋筋融解症の診断基準】
1 CK基準値の5倍以上の上昇
2 myoglobin尿の存在
上記の検査をしていない場合
1 尿潜血陽性または褐色尿
2 血清クレアチニン値の上昇も同義とみなす
筋肉症状や腎障害は参考基準にとどめる

9.

横紋筋融解症の原因
Muscle injury
外傷,熱傷,感電
代謝性
虚血性
免疫系
Medication
DKA,低Na,低K,低P,甲状腺機能異常
Toxins
Muscular activity
Isopropyl alchol,Ethylene glycol,Tenanus toxin
感染症
その他
細菌,ウイルス
圧迫,血管障害,鎌状赤血球症
PM/DM
アルコール,コカイン,アンフェタミン,PCP,Statin
Neuroleptic、Amphotericin B
スポーツ,マラソン,喘息発作
低,高体温 遺伝性筋代謝疾患

10.

この際CK値を測る意義は
・統一された基準はないが血清CKが正常範囲の5倍以上もしくは
1000U/L以上で横紋筋融解症と診断されることが多い。
Emerg Med Pract. 2012 Mar;14(3):1-15)
・CK値で横紋筋融解症によるAKI発症をある程度予測できる
CK>5000U/LでAKI発症率増加
(J Trauma 2004;56:1191-6)

11.

症例3
83歳 男性
もともとCKDで腎臓内科かかりつけの患者さん。X年11
月中旬ぐらいから両前腕伸側と背中に掻痒感を伴う浮腫
性紅斑が出現した。12月1日定期受診のため腎臓内科を
受診した。CK値は900と上昇していたが、筋肉痛などの
自覚症状はなかった。12月 日に灯油缶を車から倉庫に
運んだ。その日の夜から腰全体、両上肢、両大腿部に筋
肉痛を自覚するようになり継続している。12月8日腎臓
内科をCK高値のため再診したがCK値は3413と上昇を認
めたため総合診療科紹介となった。

12.

【既往歴】
腎硬化症
慢性心房細動
慢性心不全
狭心症
虫垂炎手術
【内服薬】
バイアスピリン 100mg 1錠
ハルナールD 0.2mg 1錠
アテレック 10mg 0.5錠
フェブリック20mg 0.5錠
アーガメイトゼリー 1個
麻黄附子細辛湯
センナリド 1錠
ラキソデート
漢方薬・健康食品・サプリメントなし

13.

【生活歴】
飲酒 20本×55年間 75歳ぐらいで禁煙
喫煙 焼酎1杯/day
【アレルギー】
薬物 なし
食物 なし

14.

【入院時現症】
体温 36.9度 血圧 123/74 mmHg
脈拍 77bpm
結膜蒼白なし 黄染なし
頸部リンパ節腫張なし
呼吸音 清
CVA叩打痛 なし
脊椎叩打痛 なし
明らかな筋力低下なし
腫張関節・圧痛関節なし
両前腕・背部に浮腫性紅斑、落屑あり
ヘリオトープ疹なし
【尿検査】
尿潜血 尿沈渣−
U-RBC 1-2 HF

15.

【血液検査所見】
【血算】
WBC
Newt
Hb
8300
74.2
10.1
/μl
%
g/dl
【凝固系】
APTT
FIB
FDP
D-dimmer
7.41
45.3
20
4.1
mmHg
mmol/L
mmol/L
【腫瘍マ】
CEA
17.9
CA19-9
1.0
ng/ml
U/ml
【生化学】
AST
138
ALT
42
LDH
414
CK
3413
BUN
39.0
Cre
2.62
eGFR
32
CRP
3.8
Na
138
K
4.8
BS
96
U/l
U/l
mg/dl
mg/dl
mg/dl
mg/dl
ml/min
mg/dl
mEq/l
mEq/l
mg/dl

16.

➡ 問診、血液・尿検査から横紋筋融解症である
ことはわかるがCK上昇の原因は複数考えられる
・運動誘発性
・薬剤性
・ウイルス性
・PM/DM
・悪性腫瘍
など

17.

各種検査を行うことも重要であるがCK値だけで
もう少し絞りこめないか
前提としてCK値は筋組織障害後2−12hで上昇し、 − 日でピー
クとなり、3−5日で減少傾向となる

CK上昇のパターンは大きく2パターンあり、ある一定の期間を置
いて再検してもやはりCK値が高値のもの 持続型 と再検の結
果正常値に復帰するもの 一過性型 に分類できる
本症例の鑑別疾患に当てはめると
持続型 PM/DM、悪性腫瘍
一過性型 運動誘発性、ウイルス性、薬剤性

18.

【Take Home Messages】
・CK値だけでは、診断するのは難しいが、病歴、身体
所見などを組み合わせることにより、強力な診断のツー
ルとなる。
・心筋梗塞、横紋筋融解症に合併するAKIなどでCK値で
臨床的予後を推測することができる。
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